哺乳

生まれた仔牛はすぐにハッチ哺乳舎へと運ばれ、快適な環境で約3週間を過ごします。その後は2018年5月に稼働した最新のロボット哺乳舎へと移動し、生後2か月までを伸び伸びとした環境で過ごさせます。仔牛は人間の赤ちゃんと同じようにとても弱い生き物です。そのため日々の仔牛の体調チェックやハッチ内の衛生環境を整えることはとても大切です。当社が市場から牛を買わずに自家育成だけで搾乳頭数を確保できているのも、よく目の行き届く哺乳スタッフの存在がとても大きいです。もとを辿ると現在飼育している全ての牛の“育ての親”でもあるのです。“自分が世話をした仔牛が2年後親牛となり、その仔牛の世話もまた自分がする”、それが自家育成をしている当社ならではのやりがいとなっています。

繁殖管理

離乳を終えた仔牛は次の育成牛として、やがて親牛になるための準備を始めます。当社では生後330日を超えた育成牛に自家人工受精を行っていきます。現在当社で人工授精を行っているスタッフはほとんどが入社後に技術を習得しています。日々の業務の中で覚えることが可能な環境であるため、未経験であっても繁殖に携わることができます。また牛は初めての分娩を終えてやっと牛乳を搾れるようになります。したがってこの時期は他の牛との共存や妊娠に向けた丈夫な体作りのために、群れの中で過ごさせながら良質な飼料を与えています。

妊娠が認められた牛は、当社敷地内にある町営スキー場へと放牧します。広々とした環境で放牧をすることは牛にとってのストレス軽減になるだけでなく、スタッフにとって給餌の労働力軽減にもなります。青々とした牧草を美味しそうに食べている牛の姿が見られるようになると、いよいよ興部の夏シーズンの到来です。 

分娩

放牧していた牛たちも分娩が近づくと、安全な牛舎内で過ごすようになります。この頃には体つきも大きくなり、体重も800キロ近くなっています。私たち人間と同様に、牛にとっても分娩は命がけのイベントです。産前産後の適切な介助を行うためにも、分娩を控えた牛が集う乾乳舎の定期的な巡回は欠かせません。

生まれた仔牛がホルスタインのメスであれば後継牛としてそのまま育成哺乳担当スタッフに委ねられますが、オスと肉用種は乳牛として搾ることができないため、市場へと売ることになります。いずれにせよ母牛の胎内で大切に育てられた仔牛は本当に尊い存在です。当社ではバケット担当者が主に分娩前後の牛の処置を行っています。分娩時の対応は母牛の産後の回復を左右するだけでなく、生まれた仔牛の生存率にも大きく関係するためとても慎重に行わねばなりません。そのため適切な判断や処置が必要となりますが、当社はスタッフ間の情報共有が徹底されているため、分娩時の事故(死産率)は多い月でも3%しかないことが強みです。市場から牛を買わずに自家育成で飼養頭数を維持する秘訣はバケット担当スタッフの存在が大きいです。

治療

2018年5月に治療牛専用パーラーが稼働しました。ここでは治療担当スタッフが生乳として市場に出荷することのできない療養牛を一度に6頭搾っていきます。またここでは治療牛だけでなく出産直後の母牛から出る初乳も搾ります。初乳は仔牛がこれから生きていくにあたって必要な免疫や栄養を豊富に含んでいるためとても大切です。治療牛専用のパーラーは収益を稼がない分野への投資となりましたが、抗生剤混入事故や初乳の搾り間違いを確実に防ぐことができます。それはスタッフに安心をもたらすだけでなく、作業の効率化をももたらします。

搾乳

当社は現在約650頭の搾乳牛を飼養し、毎日約20tの生乳を近隣の乳製品工場に出荷しています。搾乳牛が多頭であるため搾乳時間も長時間に及ぶのではないかと懸念されますが、当社は最新の40頭パーラーで朝昼晩を各4時間で搾り切ります。搾乳作業はただ搾れば良いのではなく、乳質や乳房に異常がないか等をスピード感が求められる中で見付けていかなければいけません。したがって搾乳担当スタッフは搾乳時間の短縮化によって、より集中した環境の中で作業することができています。現在も自家育成によって計画的な増頭が続いています。最先端の技術を駆使しながら、現在では、年間の生乳出荷量7,500tを目指しています。